ある日 突然

その人の息子さんから
メールをもらった
母が亡くなりました
  
何も知らず
孫とクリスマスのケーキを食べ
老いた母に正月のきんとんの出来を自慢していた
そこそこに賑やかな、人並みな年末年始であった
  
部屋に置かれたお骨と
父親と二人で
彼は
どんな思いで
年を越したのだろう
  
他人への配慮が
なおの事、切ない
  
メールにあった日にちは
彼女と電話した日だった
よいお年を なんて
月並みな挨拶を交わしたのかもしれない
はっきりおぼえていないのがまた辛い
  
魂はもう天国でイエス様の手に抱かれて
と。分っていても
残されたものは切なく辛い
  
ある日 突然。
それは神様の領域
  
初期化しようなんて
おもってはいけないのですね
どんなな重くても

サン・キャツチャー

生協のカタログにのっていた
どんなものか,ピンとこないが
注文してみた
  
握れば手の中に入ってしまうガラスの球
細い糸が付いている
 
ガラス戸のカーテンレールにぶらさげた
  
隣の家の屋根の際から
朝の光がさした
  
そのとたん  
  
暗かった部屋いっぱい
まるい光の模様が踊りだした
かべ 天井 押入れの戸の上にも
  
いくつにもカットされたガラス球に
太陽の光が虹色に反射していた
  
ひるがすぎて
西の窓に移した
  
一年のうち一番日差しの短いとき
窓から窓に
おひさまのオッカケをした

あんなこと、こんなこと4

父は大工だった
はめごろし という言葉は子供のときから知っていた
開かない。
額縁のような窓のことをそう呼んでいた
かいごろし という言葉は母がよく使っていた
百姓の家に生まれた母は
分家もできず 養子にもゆかず
もくもくと働く人を見ていたのだろうか
  
言葉として知ってはいても決して使いたくなかった
それはそれで、役に立つ存在と思っていた  
    
20年近く飼っている猫がいる
外に絶対出さないことにしている
ケンカすることも
恋をすることも
蝶を追いかけ木に登ることもない
いま  
老いて、かつての、敏捷さはない
ときどき日の当たるガラス戸の前で外、見ている  
丸い背中が冬の日差しに光っている
  
この生き物を
本来のものでない方法で飼っているのではないか
ころしている
とは思いたくないが
  
こんな日は
やはり 聖書読むしかないだべなー 
アドナイニシさんの口癖?うつった(^。^)

つるべ落としの夕日

コスモスさんの
道に向うに落ちる夕日の写真
そういえば
私も道幅いっぱいに墜ちてゆく太陽を見た
見事な大きさに橋の上で立ち止まった
橋の上はいくらか地面が高かった
もう一人見ている人がいた
あまり綺麗なので
家から飛び出してきた
と、飲みかけの缶コーヒー持っていた
二人で黙ってきっちりと
沈むまで見ていた
何人かせわしげにとうり過ぎてゆく
一寸立ち止まった人もいたけど又歩き出した
  
似たものどうし
軽い会釈で別れた
おじいさんだった

あんなこと こんなこと3

ラジオ体操の時間に合わせて
近くの公園に行く
高校の同級生とそこで会う
軽く挨拶する顔見知りもいる
  
腕を伸ばし 大きく息を吸った
真っ青な空に
7、8羽の鳥が列を組んで飛んでいった
3羽ほどの鳥が 少しばらつきながら着いている
  
朝の6時は眠い
雨の日もある
公園に行かなくても
家で体操やればいいのだけど  
先週は一度もしなかった
  
紺碧の空がまぶしい  

あんなこと、こんなこと。2

F姉妹の、証をきいた
彼女と初めて会ったのは
あるお宅での夜の集会だった
何を話したのか覚えていない
短い時間だったが
そのあと連絡をもらい
一緒に礼拝にでた
わたしなど想像もできない
絶望の中にいるのだとおもった
あれから
2年近く経ったのだろうか

彼女は証のおわりに
ガンで召されたある若い娘さんの祈りの言葉を引用した
  
あなたーーイエス様のことーーが、すべて最善をなしてくださいます
この状態を変えてくださいとも願いません
しかし、唯一の事を願います
どうか、あなたの御在臨を現してください。
  
この祈りにアーメンと心から言える
彼女の今日までの歩みを思った
  
パソコンの前で
涙が止まらなかった
救われるということなんてすごいことだろうと
生きるって
なんてこんなに
哀しくて
嬉しくて
すごいのだろうって。

あんなこと、こんなこと。

昔、山で一人の人に会った
朝、山小屋を出るとき
同じ方向だとわかって
一緒にあるきだした
50年も前のこと
歩きながら、八木重吉の話などした
彼はクリスチャンらしかった
年賀状だけが行き来した
  
受洗したといったら
集会に来てくれた
山で会ってから30年近くたっていた
  
妻と二人でホームに入ったと
年賀状もらったのは 2年ほど前のこと
  
電車で2時間バス50分
コスモスが咲き乱れる山あいのバス停に
彼は立って待っていた
  
小さなちいさな教会で
彼の奥さんと3人並んで
聖歌を歌った
  
生きているということの何という
不思議な嬉しさ
三度目の出会いだった
  

夕暮れのバス停で
握手した。
もう会うことはないかもしれない
写真は
撮らなかった